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Bitcoin

LNの中継者の資金を奪う攻撃手法

Bitcoin Optech Newsletterで取り上げられていた、LNのマルチホップ決済で中間者の資金を奪う攻撃方法について↓ bitcoinops.org もともとはLigning-DevやBitcoin-Dev MLでMatto Coralloによって議論されていた内容。 HTLCの構成 LNにおいてアリス→ボブ→マロ…

LNの経路情報を秘匿するRoute Blinding

送信者が受信者の完全な経路を知らなくても支払いやメッセージのルーティングを可能にするRoute Blindingの仕様のドラフトが提案されてるので見てみる↓ https://github.com/lightningnetwork/lightning-rfc/blob/route-blinding/proposals/route-blinding.md…

2P-ECDSAを必要とせずHTLCを代替する半Scriptlessプロトコル

LNのマルチホップ決済で使われるHTLCの仕組みを代替する仕組みとしてPoint Time Locked Contracts (PTLCs)が提案されている。 既存のHTLCを使ったマルチホップ決済は、支払い経路で同じハッシュのプリイメージが使われるため、プライバシーの懸念や中間者の…

Bitcoin Scriptの分岐処理の実装とオーバーヘッド

最近Bitcoin Coreにマージされた↓の改善について github.com Bitcoin Core PR Review Clubで取り上げられていたので↓、内容について見ておく。 bitcoincore.reviews Bitcoin Scriptの分岐処理 Bitcoinはスタック型のスクリプト言語を使ってコントラクトを実…

冗長的な支払経路を用いることでLN支払のスループットを向上させるBoomerang

Lightning Networkで決済可能な金額は各チャネルのキャパシティに依存する。この制限を緩和するため、支払に複数の経路を使用するAtomic Multi-Path Payments(AMP)が提案され、各ノードに実装されつつある。AMPの仕組みについては以前書いた↓参照。 techme…

未使用のUTXOを所有していることをUTXOを明らかにせず証明するプロトコルPoDLE

BitcoinトランザクションのプライバシーやFungibilityの向上のためCoinJoinを実装しているJoinmarketで提案されているPoDLEというプロトコルが面白かったので見てみる↓ joinmarket.me PoDLEプロトコル PoDLEが解決するのは、自分があるUTXOを所有していて、…

チェーン上で異なるコンセンサスの実行を可能にする拡張方法「Extension Block」

最近、LitecoinがMimblewimbleを導入するLIP(Litecoin版BIP)が提案された↓ https://github.com/litecoin-project/lips/blob/master/lip-0002.mediawiki https://github.com/litecoin-project/lips/blob/master/lip-0003.mediawiki Litecoinは元々Bitcoinの…

Bitcoinにアカウント機能を導入するLayer 2プロトコル「easypaysy」

BitcoinはUTXOモデルのブロックチェーンで、コインはアカウント単位ではなくUTXO単位(アドレス単位)に管理される。また、プライバシーの観点から支払い毎に異なるアドレスを使用することを推奨している。このような支払いは、コインの送金先のリンク性のハ…

Bitcoinネットワークのトポロジーを推定するTxProbe

Scaling Bitcoin 2019復習シリーズ第三弾は、「TxProbe: Discovering Bitcoin's Network Topology Using Orphan Transactions」 動画:https://youtu.be/-gdfxNalDIc?t=11751 書き起こし: http://diyhpl.us/wiki/transcripts/scalingbitcoin/tel-aviv-2019/…

Bitcoinの新しいテストネットワーク「Signet」の仕様を定義したBIP-325

Bitcoin関連のテストを行うのに便利なtestnetだが、ブロックの生成間隔がまばら(30分くらい生成されなかったり、数秒で連続してブロックが生成されたり)だったり、巨大な再編成が起こったりとあまり安定していない。そのためテストになかなか使いづらくな…

2者間の非対話型CoinJoinプロトコルSNICKER

2者間で、同期や対話なくCoinJoinを作成する新しいプロトコルSNICKER(Simple Non-Interactive Coinjoin with Keys for Encryption Reused)が提案されている↓ https://gist.github.com/AdamISZ/2c13fb5819bd469ca318156e2cf25d79 提案者のブログポストは↓ joi…

AMPを実現する3つのプロトコル

Lightning Networkにおいて、単一の経路ではキャパシティが不足し送金額に満たないが、複数の経路を使えば送金額を満たす場合に、複数の経路を使った支払いをアトミックに行うプロトコルがAtomic Multi-Path Payments(AMP)だ。 AMPのプロトコルとしては、…

TumbleBitに代わる新しいPayment Channel Hubプロトコル「Anonymous Atomic Locks」

Scaling Bitcoin 2019復習シリーズ第二弾は、Payment Channelの最近の研究といえばこの人、Pedro Moreno-Sanchezの「A2L: Anonymous Atomic Locks for Scalability and Interoperability in Payment Channel Hubs」 動画:https://youtu.be/Uh6Ywxrobzw?t=44…

Watchtowerと連携したLightning Networkウォレットのバックアッププロトコル「Açai」

Scaling Bitcoin 2019復習シリーズ第一弾は、「Açai: a backup protocol for Lightning Network wallets」 動画:https://youtu.be/PM95oNcOAlU?t=9411 スライド:https://telaviv2019.scalingbitcoin.org/files/acai-a-backup-protocol-for-lightning-netwo…

高速で秘匿性の高いスマートコントラクトをサポートするZkVM

Scaling Bitcoin 2019予習シリーズ第5弾は、「ZkVM: zero-knowledge virtual machine for fast confidential smart contracts」。おそらく内容はStellarが開発している↓のZkVMの話だと思われる。 https://github.com/stellar/slingshot/tree/main/zkvm ZkVM…

フルノードのストレージ負担を削減しつつIBDの支援を可能にするSecure Fountain Architecture(SeF)

Scaling Bitcoin 2019予習シリーズ第4弾は、カリフォルニア大学の「SeF: A Secure Fountain Architecture for Slashing Storage Costs of Blockchains」。ホワイトペーパーは↓ https://arxiv.org/pdf/1906.12140.pdf ブロックチェーンのフルノードはジェネシ…

複数のPayment Channelのアトミックな更新を可能にする「Atomic Multi-Channel Update」

Scaling Bitcoin 2019予習シリーズ第三弾は、「Atomic Multi-Channel Updates with Constant Collateral in Bitcoin-Compatible Payment-Channel Networks」。ホワイトペーパーは↓ https://eprint.iacr.org/2019/583.pdf 著者の1人のPedro Moreno-Sanchezは…

ブラインドマージマーニング(BMM)の仕様を定義したBIP-301

ブラインドマージマーニング(BMM)の仕様がBIP-301として定義された↓ https://github.com/bitcoin/bips/blob/master/bip-0301.mediawiki マージマイニングの仕組みについては、以下の記事が分かりやすい。 btcnews.jp このBIPでは、サイドチェーンのマイナ…

LNの支払い経路の計算をアウトソースするトランポリンペイメント

Scaling Bitcoin 2019予習シリーズ第二弾は、「Improving routing in the Lightning Network with Trampoline Payments」について。 特にホワイトペーパーが出てる訳でも無いので、確かな内容は分からないんだけど、おそらく現在BOLTにプルリクが出されてい…

Tor v3 hidden service等128bitより大きなアドレスをサポートするための新しいaddrv2メッセージを定義したBIP-155

Bitcoinのノードは、接続しているリモートピアにgetaddrメッセージを送信すると、リモートピアが知っているノード情報をaddrメッセージで返してくれ、addrメッセージによって、ネットワーク上の分散ピアが発見できる。 このaddrメッセージでは、各ノードのネ…

スマートコントラクト用の高水準言語BitMLを利用した安全なBitcoinベースのスマートコントラクト開発

Scaling Bitcoin 2019のスケジュールが公開されたので、予習シリーズを開始! 第一弾は「Developing secure Bitcoin contracts with BitML」のペーパーの内容↓ https://arxiv.org/pdf/1905.07639.pdf スマートコントラクトの開発用ツールはEthereum方面は充…

チェーン上のトランザクションの新たな参照方法の標準TxRefを定義したBIP-136

提案は結構前からあったみたいだけど先月マージされたBIP-136↓ https://github.com/bitcoin/bips/blob/master/bip-0136.mediawiki Bitcoinでトランザクションを識別する際は、基本的にトランザクションのハッシュのエンディアンを逆にしたTXIDを使用する。フ…

LNでインボイスを必要としないSpontaneous Paymentの2つの実装方法

通常Lightning Networkの決済では、支払先が予めインボイスを作成し、それを支払元に送ることで支払いがスタートする。このインボイスにはLNでマルチホップ決済をするにあたって、支払先のノードIDやコントラクトを構成する際に必要な情報(プリイメージのハ…

マークルツリーを利用したハッシュベースのアキュムレータ「Utreexo」

BitcoinのUTXOセットを管理するにあたって、そのストレージ要件を大幅に削減すると期待されているアキュムレータ。昨年のScaling Bitcoinでは、スタンフォード大学のBenedikt BünzがRSAを利用したアキュムレータを紹介した↓ techmedia-think.hatenablog.com …

Bitcoinネットワークの安全性を向上させるための新しいトランザクションリレープロトコル「Erlay」

先日、Gleb Naumenko, Pieter Wuille, Gregory Maxwell, Sasha Fedorova, Ivan Beschastnikhらが発表したBitcoinの新しいトランザクションリレープロトコル「Erlay」について論文読んでみた↓ https://arxiv.org/pdf/1905.10518.pdf 現在のトランザクションリ…

c-lightningのPluginの作り方

c-lightning 0.7から任意の言語でPluginを書けるようになった↓ blockstream.com 現在、C、Python、Golang、JavaでPluginを書くためのライブラリが提供されている。 c-lightningのPlugin Pluginを利用することでc-lightningが提供する機能を拡張することがで…

BitcoinへCovenantsの導入を提案するbip-coshv

Bitcoinは通常ロックスクリプトにロックされたコインをアンロックできるアンロックスクリプトを提供できれば、そのコインはどこにでも送金できる。これに対し、あるコインをアンロックした場合、そのコインの送付先を限定する仕組みがCovenantsだ。つまりあ…

Tapscript上で限定的に署名済みトランザクションのインプットの参照先をリバインド可能にする提案 bip-anyprevout

bip-taprootやbip-tapscriptが定義されたが、これに関連してLightning Networkのeltooを実現するための提案も出てきてるので見てみる↓ https://github.com/ajtowns/bips/blob/bip-anyprevout/bip-anyprevout.mediawiki eltooは、LNにおいて旧状態がブロード…

TaprootのアウトプットのスクリプトTapscriptに適用される新しいスクリプトルールを定義したBIP-342

TaprootのBIPドラフトについて書いた↓ techmedia-think.hatenablog.com ので、続いてそのTaprootのアウトプットで使用されるスクリプト = Tapscriptに適用されるスクリプトの新しいルールの提案BIP-342↓について見てみる。 https://github.com/bitcoin/bips/…

BitcoinにTaprootを導入するBIPドラフトbip-taproot(BIP-341)

先日、Bitcoinの開発者MLでPieter WuilleがTaproot、Schnorr署名およびマークルブランチをベースとしたコインの使用ルールである新しいSegwitバージョン1のアウトプットタイプを提案した↓ https://github.com/sipa/bips/blob/bip-schnorr/bip-taproot.mediaw…